スタッフブログ

アドラー心理学とシミュレーション教育

「嫌われる勇気」というアドラー心理学の本がベストセラーになって久しい。そこで書かれていることは、ほめてはいけない、叱ってはいけない、教えてはいけない、と今までの教育・育成の常識と違っている。
“教えていけない”とは上司が指示するのではなく、求められたときにはじめて応じればよく、小さな失敗なら体験させればいい。「あなたなら、きっとやり遂げられる」と信頼し続ければ、やがて、部下がそれに応えようと努力を始める、という考え方である。教えていけないというものの、「勇気づけ」として前向きのアドバイスをし、「質問」や「誘い水」で、相手の考えを引き出す、まさに“コーチング”の「教え方」を推奨している。
しかしながら、我々医療現場で働く職業の養成においては、患者さんの生命や苦しみに直結した知識、技能が多く、悠長に「失敗を体験して学んでもらう」わけにはいかない。
本研修センターが力を入れているシミュレーション教育は医療の場であっても、失敗を体験し、そこから学ぶことができる方法である。
臨床教育は実際の患者さんを対象にしてトレーニングを行うのが最も有効であることは間違いがない。とはいえ、学生や新人が臨床技能トレーニングをするには制約がある。また、ベテランといえども新しい手技を行うときには不安が伴う。シミュレーション教育は、誰もが安全に、繰り返し、失敗を恐れず教育を受けることができる。また熟達度に応じて到達レベルを変更することも可能である。まだまだ課題は山積している分野であるが可能性も大きく、研修センターの柱として取り組んでいきたい。